ここ南部地方では、鍋にせんべいを入れたせんべい汁が食卓にあがります。使うのはせんべい汁専用の「かやき」と呼ばれるせんべい。たっぷりとだしのしみ込んだかやきせんべい特有のもちもちとした食感がたまりません。
ここ南部地方では冬の時期、鍋にせんべいを入れた「せんべい汁」が食卓にあがります。使うのはせんべい汁専用の<かやきせん>とよばれるせんべい。たっぷりと出汁のしみこんだ<かやきせん>特有のモチモチ・シコシコとした食感(すいとんの歯ごたえをよくしたような食感)と旨味がたっぷりとしみ込んだせんべいは忘れられなくなるお味です。
そもそも青森県八戸市周辺で江戸時代後期の天保の大飢饉の頃に生まれた伝統的な郷土料理です。南部藩(盛岡藩・八戸藩)では、冷夏をもたらすやませに悩まされ、稲作の不作対策として小麦や雑穀が栽培され、その小麦の練り物を用いたすいとん系の鍋料理が、家庭料理として受け継がれ、また後に名物になったようです。小麦の練り物であるすいとんの代わりに保存のきくせんべいを用いた歴史ある食べ物です。
作り方は、鶏の出汁をとり、醤油ベースのスープで好きな野菜を煮立たせる、そこにせんべい汁専用の南部せんべい(かやきせん・おつゆせんべい)を手で割り入れます。簡単にサバ缶で出汁をとってもおいしいです。
肉や魚・野菜やきのこ・豆腐や糸コンなど具材をたくさん入れて、せんべい自体は小麦粉と塩、重曹だけの自然食。栄養豊富でヘルシーな健康食で、身も心も温まるせんべい汁を是非お試しくださいませ。
<材料> 4人分
白菜 4枚(ざく切り)
牛蒡 1/2本(ささがき)
人参 1本(拍子切り)
椎茸 4枚(うす切り)
鯖缶 1缶
油揚げ 1枚(短冊切り)
長ネギ 1本(斜め切り)
お酒 大さじ3
醤油 大さじ3
塩 適量
かやきせん 1.5~2枚(1人当たり)
※そのまま割ってもいいですが、かやきせんのみみの部は固いので分けて入れるのがおススメです。
<作り方>
(1) 鍋に水または、出し汁を入れ、牛蒡、椎茸を煮ます。※水1200㏄(出し汁を使うとより美味しくなります。
(2) 牛蒡と椎茸が煮えてきたら、鯖缶を汁ごと全部入れます。少し箸で鯖をくずしてください。
(3) お酒を大さじ3いれます。
(4) 白菜の新の部分を入れ、次に人参と油揚げを入れます。※アクは、きれいにすくいとりましょう。
(5) 白菜と人参が煮えたら、醤油を入れます。
(6) 白菜の葉の部分を入れます。
(7) かやきせんのみみの部分を先に入れ、3分後におせんべいの部分を入れます。
※コツ:温度が下がるとコシがなくフニャフニャな食感になるので、沸騰状態をキープしておせんべいを少しずつ足してください。
(8) ねぎを入れて、フタをして4分したらできあがり。※好みで塩を加えてください。